オープニング:轟(ごう)
「やっほー!元気だった?」
いきなりの挨拶とともに姿を見せたのは今年の春、東京に行った従姉の夕さん。俺はあまりに突然の出来事で言葉を失っていた。
「お帰り〜、お姉ちゃん」
「あ、紫(ゆかり)ちゃん、起きてて平気なの?」
「うん、少しくらいなら」
「そっか、でも冷たいよね〜轟クンも。紫ちゃんは云ってくれたのにな〜『お帰り』って」
「あ・・・お帰りなさい、夕さん」
「はい、ただいま」
町はもうすぐ夏祭り。そんな時に帰ってきたんだ、夕さんは。
そして・・・それはいつの間にか変わっていた世界へ、俺が踏み出した第一歩でもあったんだ・・・