今一旅の 逢うコトもカナ

いつか読み返して笑う、その日のために・・・

ミドルフェイズ-06:貴里

 夕暮れ近くに起きていくと、茅菜の他にに違った顔があった。確か、轟だったか・・・。
「おはよ〜貴里ちゃん。早速で悪いんだけど、昨日の事でお話しがあるの。」
「昨日の事?」
「うん。轟くんも落ち着いて聞いてね。」
 そう云うと茅菜は、昨日あった事件を事細かに話し始めた。要約するとこんなところだ。

  • 昨日未明、1人の女子高生が殺害された。
  • それは両目がくり抜かれ、干からびたミイラのような状態で発見された。
  • 容疑者は依然としてわからず、手がかりもなし。

「・・・つまり、あの犯人がまた帰ってきたって事?」
「そゆことになるのかな〜、まだ確証はないけど。」
 と云うことは、やはり昨日のは・・・。
「な、なんでそこまで詳しいんだ」
 そういきなり云い出したのは、轟。
「ん〜、どこまで云っていいのかな〜。用は人間の仕業じゃないって事。」
「へ?」
「そして、対抗できるのもまた、人間じゃダメだって事かな。今はこのくらいにしておこっか。」
「??」
 よくわかっていない轟を尻目に、茅菜は話を切り上げてしまった。



「あ、そうそう。轟くんもお通夜には行かなきゃダメだからね!」
 そういって暗くなる前に轟を帰した後で、私にこう云った
「貴里ちゃん、お願いがあるの。お通夜の晩、念のために轟くんを守れる位置にいて欲しいの、お願い!」
 一体なぜそんな事を云うのかはわからなかったが、そう云われては仕方がない。
 気付かれるはずもないが、一応警戒はしておこう・・・昨日の事もあるし。